退院後の生活、大丈夫?【家で暮らす準備と相談先】

この記事では、退院と言われたときに、家族が確認したい準備と相談先について解説しています。

目次

退院が決まったら、まずは深呼吸を

夫が「来週、退院です」って言われちゃった。嬉しいけど、本当に大丈夫かしら?

退院が決まると、うれしさと同時に、準備の多さに焦ってしまいますよね。

でも、大丈夫です。

退院までの時間は短くても、やることを一つずつ整理すれば、間に合わせることができます。

この記事では、退院と言われたときに、家族が確認したいことをまとめました。

「退院できる」と「家で暮らせる」は、違います

病院で「退院できます」と言われると、つい「家でも大丈夫なんだ」と思ってしまいます。

でも、退院できることと、家で暮らせることは、同じではありません。

病院には、看護師さんやリハビリの先生が、24時間そばにいます。

家に帰ると、その役目をするのは、家族になります。

たとえば、入院の前と後で、こんなに違うことがあります。

入院前は一人で行けたトイレが、退院後は夜中も介助がいる

入院前は気にならなかった玄関の上がり框で、つまずいてしまう

入院前は自分で用意できた食事が、むせやすくなって工夫がいる

たとえば、トイレに介助が必要な場合。

夜中はどうするか。家族が仕事に行っている間は、どうするか。

こういう「帰ってからの1日」を考えると、足りないものが見えてきます。

まずは、退院後の1日を、具体的に想像してみてください。

介護をしたことがないと、想像しづらいのは当たり前です。

困りごとや分からないことは、メモに書き出しておきましょう。

あとで紹介する相談先で、そのまま伝えられます。

すぐに自宅、だけが道ではありません

状態によっては、自宅に帰る前に、もう一段階、置ける場所があります。

すぐに自宅に戻る、だけが道ではありません。

本人が「もう帰る」と決めている場合は難しいこともありますが、選択肢として知っておいてください。

リハビリを続ける「回復期リハビリテーション病棟」

リハビリをもっと続けてから帰る、という選び方もあります。

「回復期リハビリテーション病棟」は、この病棟の正式な名前です。

一般には「リハビリの病院」「回復期の病院」と呼ばれることも多いです。

脳梗塞などの脳の病気、大腿骨などの骨折、大きな手術のあとなど、入れる病気やケガが決まっています。

また、病気ごとに「発症からいつまでに入るか」「どれくらい入院できるか」の目安もあります。

リハビリを集中的に行い、トイレや入浴など、家での生活の練習をしていきます。

退院の準備をする「地域包括ケア病棟」

点滴などの治療は落ち着いたけれど、すぐに家に帰るのは不安。

そんなときに移って、帰る準備をする病棟です。

回復期の病棟と違い、病気やケガの種類で区切られてはいません。

治療が落ち着いて、家に帰る準備が必要な方が対象です。

入院は最長で60日までと決まっています。

その間に、家の準備や、介護サービスの調整を進めます。

ただし、この病棟は、どこの病院にもあるわけではありません。

「地域包括ケア病室」「地域包括ケア病床」と、少し違う名前で呼ばれていることもあります。

今の病院にあるかどうかは、相談員さんに聞いてみてください。

病院によっては、家族が休むための短い入院(レスパイト入院)を受け付けているところもあります。

在宅復帰を目指す「介護老人保健施設(老健)」

老健は、病院と家の、ちょうど間にいる施設です。

医師や看護師、リハビリの専門職がいて、医療の管理を受けながら、家に帰るためのリハビリをします。

入るには条件があります。

要介護1以上の認定を受けていること(要支援の方は対象になりません)

病状が安定していて、病院での治療が必要ないこと

家に帰ることを目指していること

暮らしの場になる特別養護老人ホーム(特養)とは違い、老健は「帰るための通過点」です。

入る期間は、原則3〜6か月ほどの短い期間で、3か月ごとに、家に帰れるかどうかの話し合いがあります。

費用や空き状況は施設によって違うので、病院の相談員さんに聞いてみてください。

介護保険の申請は、入院中から早めに

退院後の生活を支えるのが、介護保険のサービスです。

まだ申請していない場合は、退院を待たずに、入院中から申請できます。

認定の結果が出るまでには、時間がかかります。

退院が決まってから動くのでは、サービスの開始が退院に間に合わないことがあります。

まずは、病院の相談員さんや、地域包括支援センターに相談してください。

申請の進め方も、そのときに教えてもらえます。

サービスの利用は、認定の結果が出てからが基本です。

でも、認定の結果が出る前でも、サービスを使い始められる場合があります。

まずは、地域包括支援センターや、病院の相談員さんに相談してください。

必要に応じてケアマネジャーを案内してもらって、「暫定(ざんてい)の計画」でサービスを始める方法があります。

ただし、認定の結果が想定より軽かったり、非該当になったりすると、使った分の費用が自己負担になることがあります。使う前に、費用のことも含めて、よく確認してくださいね。

申請のやり方は、こちらの記事でまとめています。

結果が届いたあとの流れは、こちらの記事です。

困ったときの相談先

一人で抱えなくて大丈夫です。

相談できる窓口が、いくつかあります。

病院の相談員さん

退院の調整をする、病院の相談員さん(医療ソーシャルワーカー)が、最初の窓口です。

病院の相談員さんに相談してください。

退院間際になってからの相談では、サービスの調整が間に合わないことがあります。

「せめて1週間あれば、調整できたのに」という声も、現場ではよく聞きます。

早めの一声が、家族の負担を減らします。

すでに担当のケアマネジャーがいる場合は、入院したことを早めに伝えてください。入院前の暮らしの様子を病院に伝えてもらえて、退院後の計画が立てやすくなります。

本人が「家に帰りたい」など、どうしたいと思っているかも、あわせて伝えておくと、退院先を考えるときの軸になります。

地域包括支援センター

退院後の暮らしや介護のことは、地域包括支援センターに相談できます。

ケアマネジャーの選び方の相談もできます。

どこに聞けばいいか分からないときも、まず地域包括支援センターで大丈夫です。

退院前カンファレンスという場もあります

退院の前に、病院の医師・看護師・リハビリの先生・相談員さんと、ケアマネジャー、家族が集まって、退院後の生活を話し合う場が持たれることがあります。

「退院前カンファレンス」と呼ばれる場です。

家族が自分で開く場ではなく、必ず行われるものでもありません。

不安に感じたら、病院の相談員さんや、地域包括支援センターに相談してみてください。

それでも、帰ってくることになったら

いろいろ考えたけど、やっぱり夫が帰ってくることになりそう…。

そういう場合も、あります。

本人も家族も望んで帰るなら、それはそれで、一つの決め方です。

家の準備は、家族だけで判断しなくて大丈夫です。

病院によっては、退院の前に、リハビリの先生などが家に来て、段差やトイレ、ベッドの置き場所を確認してくれることがあります(家屋調査・退院前訪問)。

必ず行われるものではありませんが、手すりの取り付けや、ベッド・車いすなどの福祉用具の手配も、そのときに相談できます。

病院によっては、試しに1泊だけ帰ってみる「試験外泊」ができることもあります。

気になるところは、相談員さんに聞いてみてください。

玄関の上がり框や、トイレまでの段差はないか

トイレや浴室に、手すりがあるか

夜、暗いところでつまずかないか

ベッドの周りに、つかまる場所はあるか

こういう確認を、プロと一緒にやると安心です。

準備が退院に間に合わないときは、介護ベッドだけでも自費でレンタルしたり、食事の配食サービスを使ったりと、認定を待たずにできる工夫もあります。

胃ろうや痰の吸引など、医療の処置が必要な場合は、訪問看護や訪問診療の手配に時間がかかることがあります。

どちらも、早めに相談員さんや、地域包括支援センターに聞いてみてください。

そして、家族が休むための逃げ道も、先に知っておいてください。

短い期間だけ泊まれるショートステイなど、帰ってきてからも、使えるサービスはあります。

「もう限界」となる前に、相談することが大切です。

まとめ

焦らなくて大丈夫。一つずつ、一緒に進めましょう。

退院と言われたら、まず確認したいことをまとめました。

「退院できる」と「家で暮らせる」は違う。帰ってからの1日を想像する

すぐに自宅、以外の選択肢もある(回復期リハビリ・地域包括ケア病棟・老健)

介護保険の申請は、入院中から早めに。まずは相談員さんと地域包括支援センターへ

家の確認は、プロと一緒にできる

退院は、ゴールではなく、家での暮らしのスタートです。

焦らず、一つずつ進めていきましょう。

応援しています。

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この記事を書いた人

病院勤務時代は消化器外科、循環器科を経験。
現在も看護師として、介護の現場に携わっています。
『介護について調べても情報が少ない』という声を聞き、ブログ運営を始める。

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