この記事では、認知症が心配でも受診を嫌がる方への、家族の声かけと相談先について解説しています。

もの忘れが増えてきたのに、「自分はボケていない」って、病院に行こうとしないの。



無理に連れて行こうとすると、よけいに頑なになることもあります。順番が大事なんです。
もの忘れが目立ってきたのに、本人が受診を嫌がる。
家族としては心配で、「早く病院で診てもらいたい」と思いますよね。
でも、受診を急ぐ前に、知っておいてほしいことがあります。
認知症の診断をつけることが、ゴールではありません
認知症の診断をつけることが、ゴールではありません。
受診は、困りごとを解決するための、手段の一つです。
本人からすると、「認知症かもしれない」と言われること自体が、不安で怖いものです。
その気持ちのまま無理に連れて行こうとすると、不安や怒りが強くなって、かえって症状が強く出てしまうこともあります。
まずは、「受診」ではなく、「何に困っているか」から考えてみましょう。




まず「生活の何に困っているか」を考えてみる



もの忘れって言っても、いろいろあるものね。



そうなんです。「何を忘れて、生活のどこで困っているか」で、できることが変わります。
「もの忘れが増えた」というだけでは、対策は立てられません。
まずは「生活の何に困っているか」を具体的にしてみることが、最初の一歩です。
たとえば、こんな困りごとです。
通帳や財布を、どこに置いたか分からなくなる
同じことを何度も聞くので、家族が疲れてしまう
薬を飲んだかどうか、分からなくなる
大事な約束や予定を忘れてしまう
困りごとが見えてくると、「受診の前にできること」が見えてきます。
受診の前に、工夫で楽になる困りごと
受診の前に、工夫で楽になる困りごともあります。
困りごとの中身に合わせて、こんな方法があります。
財布や通帳をなくしてしまうとき
財布は、落とさないように首から下げるポーチに入れる。通帳や大事なものは、「置く場所はここ」と決めて、いつも同じ場所に戻す。それだけでも、探す回数はぐっと減ります。
忘れて困ることが多いとき
予定や大事なことは、目につく場所にメモを貼っておく。冷蔵庫の扉や、玄関など、毎日目にする場所がおすすめです。
お金の管理が心配になってきたとき
社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」では、通帳の管理などを手伝ってもらえる場合があります。ただし、この制度は、本人が内容を理解して、同意できることが前提です。利用したいときは、まず地域包括支援センターに相談できます。


それでも、受診をおすすめする理由
工夫で楽になることはたくさんあります。それでも、受診をおすすめする理由があります。
もの忘れの原因は、認知症だけではありません。
治療で良くなる原因が、隠れていることがあります。
もの忘れの原因になる病気には、たとえば、こんなものがあります。
頭の中に水がたまる病気(正常圧水頭症)
頭をぶつけた後に、血がたまる病気(慢性硬膜下血腫)
甲状腺の働きの低下
うつ病によるもの忘れ
これらは、治療をすれば良くなることがあります。
また、認知症がある場合でも、早く分かれば、進行を緩やかにする薬を使うなど、選べる方法が増えます。「認知症かどうか」だけではなく、「治せる原因がないか」を確かめるためにも、受診には意味があります。


受診につなげる、声かけの工夫



「病院に行こう」って言うと、怒っちゃうのよね…。



言い方を変えるだけで、受け止め方が変わることがあります。
一緒に健康診断を受ける形にする
「あなただけではない」形にすると、うまくいくことがあります。
「あなただけではない」形にすると、受け入れてもらいやすくなります。
たとえば、「私も心配だから、一緒に健康診断を受けよう」と誘う形です。自分だけが「診られる側」にならないので、気持ちが楽になります。
かかりつけ医から勧めてもらう
家族が言っても難しくても、医師の言葉なら受け止められることがあります。かかりつけ医に家族が相談して、「先生から勧めてもらう」段取りを作るのも、一つの方法です。
家族が先に相談しておく
本人が来る前に、家族だけで医療機関に相談できる場合もあります。普段の様子や困りごとを、先に伝えておくと、当日の診察も進めやすくなります。


どうしても難しいときは



それでも、どうしても行ってくれなかったら…?



家族だけで抱えなくて大丈夫です。訪問してくれる仕組みもあります。
声かけを工夫しても、どうしても受診につながらないことがあります。そういうときは、地域包括支援センターに相談してください。
自宅に訪問して支えてくれる「認知症初期集中支援チーム」があります。
医師の指導のもと、看護師や介護の専門職が自宅を訪問して、様子を見たり、家族の話を聞いたりしながら、医療やサービスにつないでくれる仕組みです(おおむね6か月)。このチームは、家族が直接頼めるものではありません。困ったときは、まず地域包括支援センターに相談できます。
家族の側の支えもあります。同じ立場の家族と話せる家族会や、認知症がある方への関わり方を学べる「認知症サポーター養成講座」については、地域包括支援センターに相談できます。




まとめ
受診を嫌がるときは、
①診断をつけることがゴールではない、と考える
②まずは「生活の何に困っているか」を具体的にする
③工夫で楽になる困りごとは、先に工夫で解く
④声かけを変えて、受診につなげる
⑤難しいときは、地域包括支援センターに相談する
焦らなくて大丈夫です。本人の気持ちを大事にしながら、一歩ずつ進めていきましょう。



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