この記事では、口腔ケアの必要性・手順やポイントについて解説します
口腔内が汚れていると起こるトラブル
「歯がないからそんなに気にしなくてもいいんじゃないですか?」と質問をいただくことがあります。
歯がない方にも口腔ケアは必要です。
何故なら、高齢になるにつれて唾液の分泌量が減り、汚れが蓄積しやすくなることによって様々な問題が起こるからです。
ここからは口腔内の汚れが蓄積することで
起こりやすいトラブルについて解説します。
①誤嚥性肺炎
誤嚥(ごえん)性肺炎は、飲み込む機能が低下した高齢者などに多くみられます。
食べ物や唾液などが気管に入り込んでしまい、その時一緒に口の中にある細菌が肺まで入り込んでしまうことで起こります。
肺炎予防には口の中を清潔にすることが大切です。
②味覚・食欲の低下
口腔内、特に舌の汚れが蓄積すると味覚を感じ辛くなります。
食事が美味しくないからと食欲が低下している方は、口の中を清潔にするだけでも食欲が改善することもあります。
③むし歯・歯周病
健康な歯が少なくなると、食べ物を噛む能力も低下します。
普通のご飯が食べたいけど、歯がなくて噛めないからキザミ食・ペースト食にしている方は多くいます。
十分な栄養を摂ることが難しいと、筋力低下にも繋がり歩行などの動作にも影響が出てきます。
入れ歯という手もありますが、高価なものであり、形が合わなくなることもあるためコストがかかります。
口腔ケアの時に使用するものは?
使用する物品
①ガーグルベースン
②コップ
③歯ブラシ
④ガーゼハンカチ
⑤使い捨て手袋
⑥口腔ケアスポンジ
⑦フェイスタオル
必要に応じて用意するもの
- 吸引器
- 義歯用ブラシ
- 歯間ブラシ
- 舌用ブラシ
- 保湿ジェル
ガーグルベースンは100円均一で、
口腔ケアスポンジ・手袋は
ドラッグストアで売っています。
口腔ケアの手順
①姿勢を整える
①ベッドで寝たまま磨く場合は頭側の角度を30〜60°程度上げましょう。
②頭の下にタオルやクッションを入れ、あごを引いた状態にしましょう。
③うがいの時などに汚れてしまわないように、胸の上にフェイスタオルを置くことをおすすめします。
口の中を磨いてる時に唾液や水分が喉の方に流れて気管に入ると
肺炎のリスクをあげてしまいます。
麻痺がある方や普段からムセやすい方は特に気をつけましょう。
②入れ歯の清掃
外した入れ歯は水で軽くゆすぐか
汚れがひどい部分は義歯用ブラシで綺麗にしましょう。
綺麗にした入れ歯は、水の入った専用容器で保管するようにしましょう。
③口の中を観察する
口のなかの観察するポイントはこちらです。
・虫歯、グラグラしている歯はないか
・唇、口の中が乾燥していないか
・口臭や出血がないか
・腫瘍や炎症が起こって腫れたり
赤くなっていないか、傷はないか
・舌苔(舌の上の垢)がないか
④うがい
2〜3回水を含んでガーグルベースンに出しましょう。
意識障害や麻痺がある場合は誤嚥をする可能性があるので
うがいはせずにスポンジブラシなどで口腔内を清潔にしましょう。
⑤歯の清掃
まずはブラシで歯を磨いていきましょう。
ブラシに付着した汚れはコップの水で綺麗にします。
その時に注意したいことは、歯ブラシについた水分が気管に流れると誤嚥の原因になるので
ガーゼハンカチなどで水気をよく切りましょう。
磨く順番にきまりはありませんが
磨いた場所が分かりやすいようにしましょう。
⑥歯茎・粘膜・舌の清掃
舌や頬にある粘膜はデリケートな部分です。
歯ブラシで磨いてしまうと出血してしまうので口腔ケアスポンジを使いましょう。
唇と歯茎の間や上顎の裏などをなぞるようにして綺麗にしていきます。
付着した汚れはその都度ガーゼハンカチで拭き取るか、コップの水で綺麗にしましょう。
この時も水分が垂れ込んで誤嚥しないように
水分をしっかり切りましょう。
⑦仕上げのうがい
仕上げにうがいをして、口腔内の食べかすや舌の汚れをしっかり落としましょう。
⑧必要であれば保湿ケアをする
口腔内の乾燥が強い方は、保湿剤を使用することをおすすめします。
保湿剤を塗り過ぎると誤嚥の原因につながります。
口腔ケアスポンジなどで薄く塗るようにしていきましょう。
また、保湿剤がかさぶたのような状態になってしまうことがあるので
口腔ケアのたびに清潔にしましょう。
保湿剤はドラッグストアで売っています。
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