私が訪問した中で実際にあった
看取りのケースを振り返っていきます。
※個人情報保護のため
性別などの情報を変更している部分があります。
看取りのケース
①自然な最期を希望して自宅で看取り
- 本人:90代 男性
- 主介護者:長男の嫁
- 必要な医療処置:喀痰吸引
- 介護サービス:訪問診療、訪問看護、訪問入浴
看取り背景
肺炎のため入院していたが、誤嚥(食事が気管に入って肺炎を起こす)のリスクが高いため口からの食事・水分摂取はできず。
自然な最期を希望していたため点滴は実施せず、自宅退院での看取りとなった。
退院してから7日後に亡くなったが、前日にも訪問による入浴ができ『納得のいく看取りとなった』と話している。
②自宅で看取ると決めたが最期は病院へ
- 本人:80代 女性
- 主介護者:長女
- 必要な医療処置:褥瘡処置、在宅酸素、点滴
- 介護サービス:訪問診療、訪問看護、訪問介護、訪問入浴
看取り背景
胸水による呼吸困難感があり入院。
食道がんの疑いがあったが、精査を希望せず自宅退院となった。
退院当初は自宅での看取り方向であったが、状態が悪化していくと介護負担や不安が増加。
最後は入院し、病院での看取りとなったが『あのまま自宅でみていたら自分が先に倒れていた。一度自宅に帰してあげられてよかった。』と振り返る。
③自宅で看取ったが、病院の方が良かったのか…
- 本人:90代 女性
- 主介護者:夫
- 必要な医療処置:喀痰吸引、在宅酸素、点滴
- 介護サービス:訪問診療、訪問看護
看取り背景
誤嚥のリスクがあるため食事摂取は難しく、栄養経路は点滴のみ。
在宅介護中に肺炎を起こし、抗生剤を点滴していたが熱が下がらず、解熱剤にて対応。
(精査はしなかったが、肺がんであった可能性あり。)
訪問診療からは『入院したとしても年齢・体力的にこれ以上の治療は難しく、自然な形で最期を迎える方がよいでしょう』と説明があった。
結果的に在宅看取りとなったが、家族からは『入院の方がよかったのかな…』という思いが残った。
ケースを振り返って
どんな選択をしても『自宅だったら…』『病院の方が…』と後悔が残ることがあります。
在宅では、病院ほどの高度な検査・治療はできません。
しかし、仮に治療による延命ができたとして『それを本人が望んでいるのか』『治療による身体的・精神的苦痛』なども含めて考える必要があります。
一方で在宅は介護による疲弊もあるため、病院・施設で最期を迎えることも選択肢の一つとして考えることは大切だと考えています。
『納得のいく最期』を迎えられるように
話し合っていきましょう。
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